室町

江戸時代

明神の秀吉、権現の家康

538年、仏教が日本に入ってきたときから、神の子孫とされる天皇家では、自身の神と仏のとり扱いに頭を悩ませてきた。 奈良時代のはじめ、聖武天皇は仏教に帰依し、東大寺に大仏を造って人心を掌握しようと目論んだ。 ところが、神の子孫である天皇が仏を...
室町時代

貨幣を輸入していた日本

「びた一文払えない」などという。「びた」とは僅かな金という意で、「びた銭」とは、室町期に流通した永楽銭を模した偽造通貨である。 中国各地ばかりか日本でも、個人がひそかに隠れて鋳造するのであるから、いいものはできない。真ん中の穴がふさがったり...
日本人風雅考

長谷川等伯の「松林図屏風」

戦国時代の京 戦国時代の京は、応仁の乱のあと荒廃がすすみ、人心もすさんでいる。 京にいた文人墨客は地方に逃れ、山口の大内、越前の朝倉、能登の畠山などの有力大名を頼ったため、中央の文化が地方で花開くこととなった。かくして能登の七尾城下にも京風...
戦国時代

細川幽斎の処世術

戦国期における細川幽斎の名は、戦国武将のあいだに特別な響きがあったとおもわれる。 剣術、弓術の達人であるばかりか、和歌・茶道・連歌に精通し、鯉料理の達人にして囲碁や猿楽にも造詣が深い、人もうらやむ風流人である。 幽斎は足利家一族の出身であり...
世界史ひとこま

洛陽のこと

9秒98 4年前、高校生だった桐生選手が100㍍を10秒19で走ったニュースは、驚きをもって迎えられた。近い将来9秒台で走る最初の日本人になるだろうと、多くのものが予想した。それだけに今回の9秒98は、本人にも我々にも待ちわびた朗報といえる...
戦国時代

細川幽斎・忠興父子の身の処し方

細川藤孝(幽斎)のように才気ばしった男は、まわりがよく見えるだけに、人より先に行動してしまうため、かえって墓穴を掘ることが少なくない。 毎日が命がけの激動期には、このような人物が長命を保つことは稀である。 藤孝は足利義昭を皮切りに、信長、秀...
室町時代

足利義政とその妻

応仁の乱 台風のあとに流木が積み重なって川をせき止め、水が溢れ出す光景をみることがある。しかし、死体が積み重なって川をせき止めたとなると、尋常なことではない。 かつてわが国最大の内乱が京都であった。20万もの兵が11年にわたって刃を交え、京...
古代

弥勒菩薩半跏思惟像

広隆寺の弥勒菩薩半跏思惟像が国宝第1号に認定されたというだけで、当時からこの像がいかに魅力的な存在であったかが分かる。 仏像にしては珍しく、座位で右足先を左大腿に乗せ、右膝頭に右肘をついて物思いにふける半跏思惟像である。どちらかというと、人...
四季雑感

土地は誰のものか

加賀120万石、伊達62万石という。 一石はひとりが一年間に食べる米の量に相当するから、これに年貢率をかけると、どれほどの戦闘員を養えるかが計算できる。 つまり石高は大名の財力だけでなく、保有する戦闘能力を誇示するものであった。 江戸時代の...
平安時代

日本料理中興の祖・藤原山蔭の包丁式

平安の初期、料理通であった光孝天皇が四条中納言、藤原山蔭に命じて料理作法(庖丁式)の新式を定めた。 当時、遣唐使を通じて唐の食習慣・調理法が日本にもたらされ、これが日本風に消化されたものを故実という形で藤原山蔭がまとめあげた。 山蔭は初めて...
海外紀行

トレドと石山本願寺

数年前、自宅近くの道後温泉に弥生時代の環濠集落がみつかった。 集落は幅10メートルに及ぶ史上最大規模の環濠で囲われており、周辺に住む無頼の輩からしばしば略奪の被害にあっていたことが窺われる。 昔からひたすら生産に専念するひとびとと、産物の略...
日本人の宗教心

阿修羅

ひとりで何人分もの働きをすることを、三面六臂とも八面六臂ともいう。 「臂」とは手首から肘にいたる前腕の意で、3つの顔と6つの腕をもつ仏像から来ている。 八面六臂像は現実には存在しないが、超人的な働きをするという意味からそう呼ばれるようになっ...
海外紀行

フィレンツェ紀行

ミラノからユーロスターで2時間半、古都フィレンツェにつく。 古都というからには、古いものを手つかずで置いておこうというのであるから、近代的なインフラ整備を期待してはならない。 水道の水の出が悪いなどと苦情を言ってはいけないのである。 それに...
海外紀行

マインツ旅情

ドイツの空の玄関口は政治都市ベルリンではなく金融都市フランクフルトであり、ヒースロー(英)、シャルルドゴール(仏)と並び、ヨーロッパの代表的ハブ空港である。 マインツはフランクフルトから車で1時間という利便性があるため、ただちにそちらへ向か...
世界史ひとこま

ポルトガルとスペインの世界二分論

我が国が室町時代の後半にさしかかった頃、ヨーロッパではポルトガルとスペインが驚くべき相談をしていた。 自分たちが住むヨーロッパはさておいて、あとの世界をこの二国だけで分けてしまおうというのである。 その契機になったのは、1492年、スペイン...
日本人の宗教心

絶対他力

我が国で浄土といえば、通常、阿弥陀仏の極楽浄土を意味している。 その極楽浄土に念仏を唱えることで往生できるという浄土信仰は、すでに飛鳥時代、インド中国を経て我が国に伝わり、浄土教として上級貴族の間に浸透していた。 平安中期(1052年ころ)...
四季雑感

もはや住むべき土地はないか

久しぶりに地球儀をみて、あらためてわが国の狭小なることを思った。 その狭き土地のことである。 都会では、目の覚めるような高値で平然と売りに出されているが、住むべきところはもう僅かだと聞くと、なんとしても欲しくなるものらしい。 室町のおわりま...
戦国時代

近江守護・京極氏のことなど

室町幕府は守護大名の連合政権といえる。 幕府本体が頼りないため、有力守護は政権維持のために、やむなく郷里を離れ京に住まなければならなかった。 このため守護は、自分の領地の経営を他人に任さなければならなくなり、ついには領主の地位を乗っ取られて...
平安時代

お大師さん

四国八十八ヶ所には、一年を通しお遍路さんの絶えることがない。 その白装束の背には、遍照金剛と墨書されている。 遍照はあまねく照らす、金剛とは永遠に不滅の意である。 若き日の空海が留学先の中国で、密教の第1人者恵果から与えられた称号である。 ...
四季雑感

冬のソナタ

四国の田舎にいても、”冬のソナタ”はあちこちから聞こえてくるから、もはやこの曲を知らぬ日本人はいないという有様だ。 主旋律は子供でも楽に弾ける単調なしらべだが、なんといっても大ヒットの理由はドラマそのものにある。 むかし大当たりした”君の名...
四季雑感

退屈に耐えるということ

今や東京では、医学関連の学会や研究会が連日のごとく催される時世となった。 医学の進歩がこれだけの発表の機会を必要としている。 われわれ地方に住むものは、その中から選んで年に数回、上京するのを常としている。 飛行機を使えば1時間ほどの距離であ...
日本人風雅考

技術について その1

近年、若き臨床医の目線は、間接的手法を飛び越え、直接、病変に迫る診断・治療へ一目散に向かっている感がある。 現実的とも短絡的とも揶揄される。 内視鏡の世界も目まぐるしい。 胃腸はいうに及ばず、肝臓・胆管・すい臓・膀胱・尿管・子宮へと次々にカ...
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